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洞爺湖有珠山ジオパーク

洞爺湖有珠山ジオパークの位置

 洞爺湖有珠山ジオパークは、北海道の南西部に位置しています。洞爺湖や有珠山のほか洞爺湖温泉もあることから道内屈指の観光地として賑わっています。

有珠山、昭和新山

 今から約11万年前、巨大な噴火によってカルデラ湖である洞爺湖が、そして、約2万年前から洞爺湖の南で噴火が繰り返されて有珠山が誕生しました。成層火山であった有珠山は、7-8千年前に山体崩壊し流れ山地形を形成した後、江戸時代まで活動を休止していましたが、1663年に活動を再開、その後2000年までに9回、数十年ごとに激しい変動を見せる噴火を繰り返し、その度に昭和新山などの新たな溶岩ドームや潜在ドームを形成してきました。

洞爺湖有珠山地域

 この地域では、これまでに幾度となく火山活動により居住地や観光施設などが被害を受けてきましたが、病院、学校などの移転や砂防施設の整備を繰り返し、火山と共生するまちづくりを行っています。多くの人が住む地域が、活動の盛んな火山にこれほど近接している場所は世界でも稀であり、ここは、変動する大地とそこでの人々の生活を見て学び体験できる、「変動する大地との共生」をテーマとしたジオパークです。
 さらに、このエリアには有珠山や洞爺カルデラなど多くの地質遺産や自然遺産のほかに、縄文遺跡などの歴史遺産も数多く、火山噴火に関わる遺構やそれらを結ぶ自然散策路などが整備され、特徴ある火山活動や豊かな森・湖などの自然環境を間近に見ることができます。

主な見どころ・おすすめジオサイト

昭和新山

■昭和新山

 1943年12月から前兆地震が続き、翌年1月には麦畑や道路などであったところの地盤が隆起し始め、4月中旬には北方のフカバという集落で50mほど隆起、6月19日、フカバ集落の西方から噴火が始まりました。その後地盤の隆起は続き、もともと畑だったところが海抜250mほどの潜在ドームとなって現在の屋根山を形成しました。12月初旬には潜在ドームの中央に並んだ火口群の中心から、三角形の溶岩ドームが姿を現し、1945年9月までに海抜407m、現在は398mの昭和新山が誕生しました。

 昭和新山は成長の過程で地中の粘土が熱で焼きつき、赤褐色の天然レンガに覆われています。また川原石が溶岩ドームの中腹で見つかるなど、もともとそこが畑であったことを示す多くの証拠を見つけることができます。

洞爺湖

■洞爺カルデラ

 約11万年前の巨大火砕流噴火によって多量のマグマが地上に放出され、陥没カルデラが形成されました。その後カルデラ内に水が溜まって現在の洞爺湖となりました。洞爺湖は面積では日本3番目の大きさのカルデラ湖であり、東西約11km、南北約9kmのほぼ円形をしています。洞爺湖の特徴的な景観の一つである中島は約5万年前の噴火で形成されました。

■中島

 洞爺湖の中央部に浮かぶ4つの島を称して「中島」と呼んでいます。これらは、5万年前の火山噴火に伴って形成された溶岩ドームと火砕丘で、湖底を含めると火山体は11個識別されています。

■有珠山

有珠山

大有珠

大有珠

1853年の火山活動で成長した大有珠は、現在の有珠山山頂にある溶岩ドームの中で最も大きく、表面はごつごつとした溶岩に覆われています。小有珠のように粒子の細かい火山灰や軽石ではなく、地下から上昇した溶岩がそのまま露出しているのは大有珠の成長後に山頂で火砕流が発生していないためです。

有珠新山

有珠新山

1977-78年噴火の前には大有珠と小有珠の間は平坦な火口原でありました。噴火に伴ったマグマの上昇で小有珠の一部を切ったU字型の蝶番状断層を核として潜在ドームが1982年3月までに最大180m隆起しました。断層には小有珠、オガリ山と銀沼火口噴出物を含む火口原を埋めた地層の断面が認められます。

オガリ山

オガリ山

1822年に約53年の休止期を経て再び活動を開始した有珠山山頂にできた火口から火山灰や軽石を激しく噴き上げるとともに、火砕流や火砕サージが山麓へ流下し、麓の集落を焼失させました。この火山活動の最後には山頂に潜在ドームが成長し、オガリ山と名付けられました。その後、1977-78年の噴火に伴って成長した潜在ドーム(有珠新山)によって南北に分断されました。

小有珠

小有珠

小有珠は1663年の火山活動の最後に有珠山山頂にできた溶岩ドームであり、その表面はその後の大有珠やオガリ山を形成した噴火で発生した火砕流堆積物に覆われています。

銀沼火口

銀沼火口

山頂火口原には1977-78年噴火の後半に起きたマグマ水蒸気爆発で形成された銀沼火口があります。火口淵に見られる縞状の地層はおよそ4ヶ月にわたって繰り返された噴火による火砕サージの堆積したものです。

有珠山外輪山散策路

有珠山外輪山散策路

有珠山外輪山散策路からは、火口原内部にそびえる小有珠、大有珠、オガリ山、有珠新山などの溶岩ドームと潜在ドーム群や1977-78年噴火でできた銀沼火口などをみることができます。現在、南外輪と呼ばれる、有珠外輪山散策路が通る火口原の南側の尾根は1663年噴火のうちプリニー式噴火の後に発生した低温の火砕サージに伴って火口周辺に堆積してできました。一方北外輪と呼ばれる部分は約7000年前の有珠成層火山の崩壊によって生じたものです。

■西山山麓散策路

 2000年3月31日午後1時7分、約23年間の休止期を経て活動を再開した有珠山は西山山麓で最初のマグマ水蒸気爆発を開始しました。その後、西山西麓と金比羅山麓で合わせて60個以上の火口を作りました。西山山麓の火口周辺では、地下に貫入したマグマが地表を押し上げ、最大で70m以上隆起しました。西山山麓の火口の一部では、噴火から8年以上経過した現在でも、多量の水蒸気を上げている場所があり、それらの火口をつなぐように、散策路が整備されて地元の人や観光客に2000年噴火の様子を伝えています。

西山山麓散策路

 

西山山麓散策路

西山山麓散策路

■1977年火山遺構公園

 1977-78年噴火に伴う地殻変動は約5年間をかけてゆっくりと動いたため、北山麓では地盤の圧縮、断層、亀裂が徐々に進み、236戸の家屋が被害を受け、また全壊した家も74戸に上りました。このほか、道路や上下水道、温泉の泉源、配湯管なども被害を受け、この噴火における地域住民の生活には、地殻変動による被害か最も大きいものとなりました。山麓にある病院は建物の下を断層が走り、時間をかけて地盤が変動したために、最後に倒壊してしまいました。地元の町ではこのような被害を再び起こさないように、倒壊した建物を保存し、後世に伝えようという動きが起こり、この建物は噴火遺構として公園整備され、火山学習の場として利用されています

地殻変動により倒壊した病院

地殻変動により倒壊した病院

 

地元の小学生の学習の場として利用

地元の小学生の学習の場として利用

■2000年噴火遺構公園と金比羅火口散策路

 西山山麓での噴火の翌日4月1日には金比羅山西麓でも噴火が始まり、新たな火口群が形成されました。金比羅火口群は洞爺湖温泉街からほど近い場所にできたため、噴石や低温の火砕サージ、降灰によって住宅や多くの建造物が被害を受けました。また火口からはマグマの熱で温められた地下水が熱泥流となり、砂防施設と人工河川の西山川から洞爺湖温泉街にあふれ出しました。3棟あった5階建ての町営団地、町営浴場、洞爺湖温泉小学校などが泥流に埋まり、当時の国道230号と町道にかかる橋が流され、国道の橋は町営団地の1棟にぶつかり150mほど流されて止まりました。将来の噴火に備えて広い砂防施設を建設するのにあたり、町営団地の1棟、国道の橋、そして町営浴場を砂防施設内に公園化した噴火遺構として保存展示しています。

熱泥流などの災害で使用不能となった公営浴場

 

熱泥流などの災害で使用不能となった公営住宅

熱泥流などの災害で使用不能となった公営浴場と公営住宅

■四十三山散策路

 1910年の火山活動では、活動の後半には地殻変動に伴う地盤の隆起が見られました。火口付近で地下に貫入したマグマによって地面が押し上げられ四十三山潜在ドームを形成しました。噴火から100年近く経過した現在でも水蒸気が噴出し続ける噴気孔や回復しつつある森林を観察でき、バードウォッチングも楽しめます。

四十三山散策路にある解説板をみるツアー参加者

四十三山散策路にある解説板をみるツアー参加者

 

四十三山上空より(右は洞爺湖温泉街)

四十三山上空より(右は洞爺湖温泉街)

  

■北黄金貝塚

 約7000年前から江戸時代まで有珠山は火山活動をしておらず、この間、この地域では人々が火山活動におびえることなく暮らしていました。縄文時代から近代にかけてこの地域に暮らしていた先人が残した貝塚や墓などから多くの遺品が発見されており、火山や海とともに暮らした様子をうかがい知ることができます。
伊達市にある北黄金貝塚では、5つの貝塚と住居跡、お墓などから、多数の縄文人の人骨、石器、土器・骨角器などの工芸品が発掘されました。特に、儀式の場ともなっていた水場遺構は、このような性格の遺跡としては北海道唯一の貴重なものであります。また、祭祀用具の精巧な骨角器は、縄文時代の精神文化を知る重要な資料とされており、1987年に国の史跡に指定されました。

北黄金貝塚公園

 

北黄金貝塚公園

北黄金貝塚公園

■カムイチャシ史跡公園

 豊浦町茶津にあるこの遺跡はアイヌ語で「神のとりで」「カムイチャシ」と呼ばれ、自然を神々として崇めた精神世界に触れることができます。135 段ある木製の階段を登ると、やがて噴火湾を一望できる展望台にたどり着き、豊かな自然と神秘の遺跡をかいま見ることができます。また、木道を歩いてゆくと壕(ごう) に沿って土塁が築かれ礫(れき) 「つぶて石」など、先人の知恵と勇気を知らされます。

カムイチャシ史跡公園

 

カムイチャシ史跡公園

カムイチャシ史跡公園


教育活動

■地元の小学生、教職員を対象とした活動

 平成22年6月26日に地元の小学生を対象とした有珠山登山会を開催、翌日には教職員を対象とした有珠山周辺の「火山遺構ジオツアー」を開催しました。8月にも小学生・教職員向けに貝塚などを巡る「縄文と地域の文化・歴史をめぐるジオツアー」を開催しました。

有珠山山頂にて記念写真
有珠山山頂にて記念写真

 

地元の教職員に2000年噴火について解説
地元の教職員に2000年噴火について解説

ガイド養成

■洞爺湖有珠火山マイスター

 洞爺湖有珠山地域では「火山と共生する地域リーダー」の育成などを目的とした、「洞爺湖有珠火山マイスター」制度があり7月末現在、11名が認定されています。(北海道が制度設立)
火山マイスターの役割は、洞爺湖や有珠火山地域の自然や特性についてしっかりと学び、正しい知識に基づいて、噴火の記憶を自らの言葉で世代を超えて語り継いでいく「学びと伝えの実践」で、地域の防災活動に対する助言・協力や、登山学習会の講師やサポート、質の高い火山ガイドなど、防災面、観光面でのさまざまな活動を行っています。

ガイド活動の様子

 

ガイド活動の様子

火山マイスターによるガイド活動の様子

ジオツアー

■一般市民を対象にしたジオツアー

 洞爺湖有珠山地域では、様々な団体の主催によるジオツアーが積極的に開催されています。2008年度(4月~11月)には10回、2009年度(4月~11月) では12回開催され、約1100人が参加しました。特にNPO法人そうべつエコミュージアム友の会が主催する「昭和新山登山学習会」と「有珠山学習登山会」は立入規制区域に入れることもあり、人気のジオツアーです。

有珠山 I(アイ)火口にて地熱測定

有珠山 I(アイ)火口にて地熱測定

 

昭和新山の山頂に立つ参加者

昭和新山の山頂に立つ参加者

保全活動

■住民団体によるジオサイト保全

 NPO法人そうべつエコミュージアム友の会では、ジオサイト「新山沼展望公園」にあるドンコロ山保存露頭の補修作業などのボランティア活動を実施しています。
ここではドンコロ山火砕丘の噴出物や1663年の有珠山の火山活動に伴う軽石などが層になって見ることができる貴重な場所ですが、植生の回復や土砂の崩れなどから地層が見えづらくなってきていたことから土砂の除去作業が行われました。

そうべつエコミュージアム友の会による補修作業

そうべつエコミュージアム友の会による補修作業

 

補修作業の後、縞状の地層を見ながら北海道大学宇井忠英名誉教授の解説を熱心に聞く会員

補修作業の後、縞状の地層を見ながら北海道大学
宇井忠英名誉教授の解説を熱心に聞く会員

拠点施設

■道の駅 そうべつ情報館i

〒052-0101 北海道有珠郡壮瞥町字滝之町384番地1

TEL 0142-66-4200  FAX 0142-66-2800

E-mail  ecogeo@town.sobetsu.lg.jp

 そうべつ情報館iは、洞爺湖周辺地域の地域情報、観光情報の発信のほか、有珠山や昭和新山に関する貴重な資料が収蔵され、解説パネルと噴石の実物標本で、有珠山と火山について学ぶことができる洞爺湖有珠山ジオパークの拠点施設です。

道の駅 そうべつ情報館i

 

道の駅 そうべつ情報館i

 

■洞爺湖ビジターセンター・火山科学館

〒049-5721 北海道虻田郡洞爺湖町洞爺湖温泉142番地5

TEL 0142-75-2555

 洞爺湖ビジターセンターは洞爺湖の自然とその自然を楽しむために必要な情報を提供・掲示しています。館内では洞爺湖周辺の自然観察情報、周辺に生息する動植物についての展示解説や映像を見ることができます。また、併設されている火山科学館では迫力ある映像や、パネルや実物モデルの展示で有珠山の火山活動について詳しく学ぶことができる施設です。

洞爺湖ビジターセンター・火山科学館

 

洞爺湖ビジターセンター・火山科学館

シンボルマークやマスコットキャラクター

ロゴマークとイメージグラフィック

洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会では、ロゴマークとイメージグラフィックを活用しています。
ロゴマークは解説看板や協議会、関係団体が作成したパンフレットなどに使用され、イメージグラフィックは、名刺や缶バッジ、Tシャツなどに使用されています。
ロゴマークでは山と構成自治体を表し、イメージグラフィックでは当地の景観と訪れる人を表しています。
使用は一定の条件の下、原則無償で使用することができます。

ロゴマーク

ロゴマーク

 

イメージグラフィック

イメージグラフィック

ジオ関連商品

 

■缶バッジやTシャツなど試行的に製作中

 ジオパーク推進協議会ではTシャツや缶バッジなどを試行的に製作し、今後の商品化について検討中です。地元の菓子会社からは「ジオパークまんじゅう」が発売されるなど様々な商品化の動きがあります。
また、ジオパークのルートガイドブックも現在2巻まで発売され、わかりやすい内容や1冊100円というお手頃なことから好評です。

洞爺湖有珠山ジオパークルートガイドブック

 

洞爺湖有珠山ジオパークルートガイドブック

洞爺湖有珠山ジオパークルートガイドブック

看板、解説版

■計画的な看板・解説板の整備

 ジオサイト内の解説板は現在、計画的に整備中です。整備済みの解説板や誘導サインはジオパーク以前の取組である「エコミュージアム」時代のものも多いため、国、北海道などの協力をいただきながら更新予定です。

解説板

解説板

 

誘導サイン

誘導サイン


その他特記すべき事項

 地元のセブンイレブンが、地元産のしそを使ったパスタにイメージグラフィックのラベルを貼り「ジオパークの恵み」として販売を開始し、今後の広がりが期待できるところです。

ジオパークの恵み

 

ジオパークの恵み

基本情報

地域名:洞爺湖有珠山ジオパーク

団体名:洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会

代表者名:会長 壮瞥町長 山中 漠

構成自治体名:伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町(1市3町)

推進組織体制

ジオパーク活動母体:洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会

(構成団体)

伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町、北海道、国土交通省北海道開発局、環境省北海道地方環境事務所、林野庁北海道森林管理局後志森林管理署、各観光協会、住民団体など43団体

問合せ先

■洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会

〒052-0101 北海道有珠郡壮瞥町字滝之町384番地1(そうべつ情報館i内)

TEL 0142-66-4200

■公式ウェブサイト

http://www.toya-usu-geopark.org/